「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」と保証人について

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2020年11月27日

「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」と保証人について

Q「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を用いた場合,保証人はどうなりますか?

A

1 保証人に関する規定

 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」第8項(5)に,保証人による保証債務の履行に関することが規定されています。
 文言上,原則として債権者は(個人の)保証人に対する履行は求めないこととし,一定の要件に当てはまる場合のみ,保証人に対して履行を求めても良いとされていると解釈することができます。
 そして,保証人に対して履行を求める場合には,その保証人についても,主たる債務者とともに調停条項案を作成して,合理的な範囲で弁済の負担を定めるとされています。

 

2 原則として保証人に対して保証履行を求めないとする理由

 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を用いた場合,保証人に対する履行請求が制限される理由は,主たる債務者に帰責性がない(あるいは僅少である)こと,すなわち通常想定される範囲を超えた災害の影響により弁済することが困難になったという事情に基づく債務整理であるためです。
 このような場合,保証人にとっても想定外の事態であることから,保証債務の履行を求めることは酷であるという考えに基づいているのではないかと考えられます。

 

3 保証人に保証債務の履行を請求できるケース

 次の2つの要素を考慮したうえで,保証履行を求めることが相当と認められる場合に,債権者は保証人に対して保証債務の履行を求めることができるとされています。
 ①保証契約を締結するに至った経緯,主たる債務者と保証人の関係,保証による  利益・利得を得たか否か等を考慮した保証人の責任の度合い。
 ②保証人の収入,資産,災害による影響の有無等を考慮した保証人の生活実態。
 これらの要素は,相当広範かつ抽象化されたものではありますので,保証人に対する履行請求がなされるか否かは,個別具体的に判断することになります。
 たとえば,保証人に充分な資産や収入があり,かつ災害による影響をあまり受けていない場合や,主たる債務者が保証人の勧めでもって融資を受け,その保証人も融資に基づく事業運営で利益を得ていた場合などには,保証人に対する履行請求がされる可能性があると考えることができます。

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