自己破産と「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の違い

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2020年12月28日

1 基本的な違い

 令和2年12月1日から、自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン(以下「債務整理ガイドライン」)がコロナウイルス感染拡大の影響を受けて支払い不能となった債務者についても適用されることになりました。
 まず、債務整理ガイドラインと自己破産の基本的な違いですが、自己破産は破産法に基づいて、原則として裁判所が破産管財人を選任し、裁判所の密接な関与の下、法律の定めに従って行われる手続です。
 これに対して、債務整理ガイドラインに基づく債務整理は、特定調停の手続を経るため、裁判所が一定程度関与するものの、基本的には当事者の合意により債務を整理していく手続となります。

2 利用できるケースの限定

 債務整理ガイドラインはあくまで新型コロナウイルスの影響により収入が減り、返済が困難になったということが大前提のものです。
 ですので、新型コロナウイルスにより令和2年2月1日以降収入が減少していなければ、債務整理ガイドラインの適用対象にはなりません。
 また、新型コロナウイルスの影響が出る以前から返済が止まっているような場合には、新型コロナウイルスにより返済が困難になったといえないので、債務整理ガイドラインの適用対象外ということになります。
 なお、免責不許可事由がある場合、自己破産は免責が認められない可能性があり、債務整理ガイドラインの利用にあたっても免責不許可事由に該当する事実がないことが条件とされていますが、自己破産では裁量免責によって、事実上免責不許可事由があっても広く免責が認められています。
 免責不許可事由該当事実がある場合の債務整理ガイドラインの適用の可否については、今後の運用を見る必要があると考えられます。

3 効果の差異

 債務整理ガイドラインを利用した場合、破産手続や民事再生手続と同等額以上に債権者が回収できることが前提となります。
 ほとんど資産を保有していない状態で自己破産をすれば、債務がなくなり、債権者としては全く回収ができない結果となりますが、債務整理ガイドラインの場合は、少なくとも破産、再生以上には債権者が回収できるようにする必要があるので、一定額以上は返済していくことが前提となります。
 また、逆に一定の資産を有している場合、自己破産だとそれを換価して債権者への配当に充てることになりますが、債務整理ガイドラインを使う場合、財産の処分を行うことが強制されるわけではないので、その財産の評価額以上の返済をすることで、財産の処分を免れる可能性もあると考えられます。

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