「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」と特定調停
1 ガイドラインに基づく債務整理は特定調停を利用します
「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」(以下「本ガイドライン」といいます。)に基づく債務整理に当たっては、特定調停手続を利用することとされています。
全ての対象債権者から調停条項案の同意又は同意の見込みを得られれば、特定調停の申立てをして、債務整理を行います。
2 特定調停とは
特定調停とは、債務者が負っている債務について、債権者との利害を調整する手続です。
裁判所の関与はありますが、基本的には当事者の間での合意によって進められるため、基本的には代理人を立てない限りは裁判所に出向く必要があります。
調停が成立すると、裁判所から結果を記載した調停調書が渡されますので、後はその調書の内容に従って返済すれば足りることになります。
特定調停の申立ては、原則として、債権者の営業所又は事務所の所在地の区域を管轄する簡易裁判所に対して行います。
出廷が困難となるほどの遠方になる場合には、債権者の合意を得たうえでお住まいの近くの簡易裁判所に申し立てることが考えられます。
3 調停条項案
調停の申立てをする前に、全ての対象債権者から調停条項案の同意又は同意の見込みを得る必要があります。
本ガイドラインで定められている特定条項案では、債務の返済期間が原則5年以内であることや原則として全ての特定債権者を平等に扱う必要があること等、一定の条件がありますが、その条件を充たせば破産や個人再生を行うのと同じ程度の借金の整理ができる場合があります。
4 特定調停の費用
特定調停の申立費用としては、収入印紙代・予納郵便切手代がかかり、概ね債権者1社につき900~1000円かかります。
5 本ガイドラインによる債務整理に関心がある方へ
本ガイドラインによる債務整理は、弁護士に任意整理・個人再生・自己破産の依頼をする場合と異なる手続によりながら、結果として個人再生や自己破産をするのと同程度の借金の整理ができる可能性がある制度です。
お役立ち情報
(目次)
- 任意整理と「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の違い
- 個人再生と「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の違い
- 自己破産と「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の違い
- コロナウイルスで自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを用いた場合の手続きと流れ
- 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を使える条件
- 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の対象となる債務
- 個人事業者が「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を使った場合の事業への影響
- 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を使う場合にかかる期間
- コロナウイルスの影響で特定調停する場合の流れ
- 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を用いた場合に残せる財産
- 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」と特定調停
- 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」と「ブラックリスト」
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